モーニングティー
ひどく機嫌良さ気に、男はテーブルの上にティーポットとカップを並べた。
まるで、歌でも歌いだしそうに軽やかな仕草で。
褐色の腕の中で、白い肢体が撓る。
「あ・・はぁっ・・やめ・・・!」
「・・・アルベルト・・・」
耳元に息を吹きかけるようにして囁くと、その身をビクビクと震わせた。
「・・ふあぁ・・っ」
深く穿って揺すり上げると、一際高い嬌声が上がった。
「あ、あ、あ・・ん!・・・あああぁぁっ!!」
グッタリと力の抜けた身体の中。
再度、軽く揺する。
「ん・・うあ・・!」
「まだまだ・・・足りなかろう・・・?ククク・・・」
シュンシュンと、ケトルから湯気が上がる。
褐色の指が優雅に動き、その取っ手を持った。
薔薇の模様が描かれたティーポットに熱い湯を注ぎ、ポットを温める。
どこか楽しそうな表情で茶缶を手に取り、男は缶の蓋を開けた。
中には、まだ赤味が強く残る、薔薇の花びら。
「フ・・・」
小さく男は笑い。
ティーポットの湯を捨ててから茶葉を入れ、再び湯を注ぎ入れた。
ポットの中で、フワリと薔薇の花びらが広がってゆく。
色を、淡いピンクに変化させながら。
充分な時間、茶葉を蒸らして。
男はポットとお揃いで薔薇の模様が散らしてあるカップに、茶を注いだ。
コポコポコポ・・・。
小気味良い音と共に、カップの中で淡い琥珀色の液体が揺れた。
カップの一つを手に取り、男はそれを鼻先に持って行った。
「ふむ・・・良い香りだな・・・」
満足気に頷くと、トレイにポットとカップを二つ載せ、隣の部屋へ続くドアを開けた。
「アルベルト」
ベッドの上で。
アルベルトと呼ばれた彼は、気だるそうにゆっくりと身体を起こした。
「昨夜、散々に喘がされた気分はどうだ?」
笑いを含んだ声で問いかけると、彼の頬がパッと朱を刷いた。
「ククク・・・」
口唇の端を曲げて楽しそうに笑った後。
「喉が渇いたろう?茶を飲むがいい」
言いながら、トレイごとカップを差し出すと。
白い指が白いカップをそっと持ち上げた。
そして、先ほど男がしたのと同じように、カップを鼻先に寄せて。
「良い香りだ・・・」
瞳を、柔らかく細めた。
そしてカップを口元に運び、コクリと中の液体を口に含んだ。
「・・・美味い・・・が。少し、変わった味がする・・・」
「薔薇の花びらで作った、薔薇のハーブティーだ。この私が手ずから作ったのだ。美味くないはずがない」
洗練された手付きで、男もまた、カップを口音に運んだ。
「たまにはこうして、ゆっくりと共に茶を楽しむのも悪くあるまい?」
その言葉に、彼は小さく頷いた。
男は笑み、自身のカップをトレイの上に置いて、ティーポットを持ち上げた。
「お代わりは如何かな、アルベルト?」
「・・・いただこう」
空になりかけたカップに、コポコポとお茶が注がれた。
柔らかに立ち昇る湯気は、その場の空気をも暖かに変えてしまうようで。
二人は顔を見合わせて、
「フ・・・」
「・・・ふふ」
紅茶のカップをまた、口元に運んだ。
「44薔薇同盟」にカキコさせて頂いた44妄想絵に管理人ふみふみ様が
夜を共に過ごした翌朝の44を悩ましく素敵に書いて下さいました。
ふみふみ様の美しき世界をご堪能くださいませ。
いつもありがとうございます!
ブラウザを閉じてください。